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ブルガタ心筋症検査

ブルガダ症候群は、遺伝的素因が強く関与する稀な心疾患で、特に日本を含むアジア人男性に多く見られる病態です。この疾患は、心臓の電気的活動の異常により突然死を引き起こす可能性があり、予後不良とされています。成人男性に圧倒的に多く(男女比10:1)、症状の有無に応じて「症候性ブルガダ症候群」と「無症候性ブルガダ症候群」に分類されます。特に夜間に突然生じる心停止発作が特徴で、日本ではかつて「ぽっくり病」として知られていました。

原因遺伝子

ブルガダ症候群の15〜30%の症例では、遺伝子変異が確認されています。その多くがナトリウムチャネル(NaV1.5)をコードするSCN5A遺伝子に関連しています。これにより心臓の電気的活動が乱れ、心室性不整脈や心停止を引き起こします。また、SCN5A以外の遺伝子が原因であるケースも報告されていますが、それらは非常に稀です。

対象となる方

以下のいずれかに該当する方は、遺伝子検査を受けることでブルガダ症候群のリスクを確認し、適切な予防や治療を検討することが推奨されます。

  • 突然死やブルガダ症候群の家族歴がある方
  • 心電図でP-R時間の延長やQRS幅の拡大など、心臓伝導障害が示唆される方
  • 失神発作や心室細動(VF)の既往がある方
  • ご自身のリスクを確認したいと強く希望される方

Gene Checker(循環器)とは

Gene Checker(循環器)は、心血管疾患のリスクを高める可能性のある遺伝子変異をスクリーニングする検査です。心電図異常や不整脈がある方だけでなく、家族歴があり症状がない方に対しても、将来のリスクを評価する手段として有効です。この検査により、早期に適切な対応を取ることで、重篤な合併症や突然死の予防が期待できます。

検査方法

検査では、専用のキットを用いて頬粘膜を採取し、そこからDNAを抽出して解析を行います。遺伝子変異が確認された場合は、医療機関と連携し、具体的な対策や治療計画を検討します。

関連遺伝子

ブルガダ症候群に関連する遺伝子には以下が含まれます。これらの遺伝子の異常は、心臓の正常な電気的活動を乱し、不整脈や突然死のリスクを高めます。

  • SCN5A: 主な原因遺伝子。心筋のナトリウムチャネルをコード。
  • CACNA1C: カルシウムチャネルをコードし、心筋の収縮に関与。
  • KCND3: カリウムチャネルをコードし、再分極過程に関与。
  • RYR2: カルシウム放出を制御し、心室性頻拍に関連。
  • その他:KCNJ8TRPM4など。

注意事項

この検査は非常に精度が高いものの、偽陽性や偽陰性の可能性が完全に排除されるわけではありません。また、遺伝子変異が確認された場合でも、必ずしも疾患が発症するわけではありません。検査結果は医療専門家によるカウンセリングと併せて活用し、必要に応じて追加の診断や治療を検討することをお勧めします。